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【九州大学入試】tanの入った定積分(2025)

今回はこちらの問題を解いていきます. 数Ⅲの範囲になるので, 文系数学の範囲外の問題になります.

(1) 関数\(y=\tan{x}\)に対して, \(\frac{dy}{dx}\)を\(y\)の整式で表せ.
(2) 以下の定積分を求めよ.
$$
\int_0^{\frac{\pi}{4}}\frac{\tan^4{x}-\tan^2{x}-2}{\tan^2{x}-4}dx
$$
(2025 九州大学理系[2])

この問題は(2)の定積分を置換積分で求めるための誘導として(1)があります.

(1) \(y=\tan{x}\)について, 両辺を\(x\)で微分すると,
$$
\frac{dy}{dx}=\frac{1}{\cos^2{x}}
$$
ここで,
$$
1+\tan^2{x}=\frac{1}{\cos^2{x}}
$$
であるから,
$$
\frac{dy}{dx}=1+\tan^2{x}=1+y^2
$$
を得る.

(2) \(y=\tan{x}\)として置換積分を行う. 積分範囲は,
$$
\begin{array}{c|ccc}
x & 0 & \rightarrow & \frac{\pi}{4} \\
\hline
y & 0 & \rightarrow & 1 \\
\end{array}
$$
となり, また,
$$
\frac{dy}{dx}=1+y^2
$$
から,
$$
dx=\frac{1}{1+y^2}dy
$$
である. 以上から置換積分を行うと,
$$
\begin{align}
&\int_0^{\frac{\pi}{4}}\frac{\tan^4{x}-\tan^2{x}-2}{\tan^2{x}-4}dx=\int_0^1\frac{y^4-y^2-2}{y^2-4}\cdot \frac{1}{1+y^2}dy\\
=&\int_0^1\frac{(y^2-2)(y^2+1)}{y^2-4}\cdot \frac{1}{1+y^2}dy=\int_0^1\frac{y^2-2}{y^2-4}dy
\end{align}
$$
ここで, 多項式の割り算と, 部分分数分解により,
$$
\begin{align}
\frac{y^2-2}{y^2-4}&=\frac{(y^2-4)+2}{y^2-4}=1+\frac{2}{y^2-4}\\
&=1+\frac{2}{(y-2)(y+2)}=1+2\cdot\frac{1}{4}\left(\frac{1}{y-2}-\frac{1}{y+2}\right)\\
&=1+\frac{1}{2}\cdot\frac{1}{y-2}-\frac{1}{2}\cdot\frac{1}{y+2}
\end{align}
$$
となるので, 積分の続きを行うと,
$$
\begin{align}
\int_0^1\frac{y^2-2}{y^2-4}dy&=\int_0^1\left(1+\frac{1}{2}\cdot\frac{1}{y-2}-\frac{1}{2}\cdot\frac{1}{y+2}\right)dy\\
&=\left[y+\frac{1}{2}\log{|y-2|}-\frac{1}{2}\log{|y+2|}\right]^1_0\\
&=1-\frac{1}{2}\log{3}
\end{align}
$$
と計算できる.

置換積分の置換については誘導に乗れば問題なく行えるでしょう. その後の有理関数の積分、つまり一般に整式\(P(x)\), \(Q(x)\)に対して,
$$
\int\frac{Q(x)}{P(x)}dx
$$
の積分に関しては, 2つの定石を知っておく必要があります.

1つめは, 分子\(Q(x)\)の次数が\(P(x)\)の次数以上であるとき, 整式の割り算によって分子の次数を下げる必要があるということです. このためにはまず, \(Q(x)\)を\(P(x)\)で割り, その商を\(A(x)\), 余りを\(R(x)\) (ただし, \(R(x)\)の次数は\(P(x)\)の次数未満)とするとき, \(Q(x)\)を
$$
Q(x)=A(x)P(x)+R(x)
$$
の形で表します. この両辺を\(P(x)\)で割ることで,
$$
\frac{Q(x)}{P(x)}=A(x)+\frac{R(x)}{P(x)}
$$
となり, \(R(x)\)の次数は\(P(x)\)の次数より小さくなっているので, この形で積分を実施します.

2つめは, 部分分数分解です. \(\frac{R(x)}{P(x)}\)の積分が簡単にできる形でないときは, 今回のように部分分数分解を行なった上で積分を行います. 部分分数分解でよく使われる形は以下なので, しっかり覚えておきましょう.
$$
\begin{align}
\frac{1}{x(x+1)}&=\frac{1}{x}-\frac{1}{x+1},\\
\frac{1}{x(x+a)}&=\frac{1}{a}\left(\frac{1}{x}-\frac{1}{x+a}\right) \,\,(a\neq 0),\\
\frac{1}{(x+a)(x+b)}&=\frac{1}{b-a}\left(\frac{1}{x+a}-\frac{1}{x+b}\right) \,\,(a\neq b).
\end{align}
$$
部分分数分解で分母を1次式にできない例もありますが, 今回の問題に関しては上の部分分数分解で対応できます.

youtubeでも解説しています.

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