今回はこちらの問題を解いていきます.
次の2つの放物線
$$
C_1:y=2x^2,\,\,\, C_2:y=2x^2-8x+16
$$
の両方に接する直線\(l\)を求めよ. またその直線\(l\)と\(C_1\), \(C_2\)で囲まれた領域の面積を求めよ.
(2024 九州大学文系[1])
こちら2次関数, 接線, 積分のとても基本的な問題です. 確実に点を取る必要があります.
それでは解いていきましょう.
\(C_1\)上の点\((a,2a^2)\)で\(C_1\)に接する直線を求める. \(y=2x^2\)に関して, \(y^\prime=4x\)だから, \((a,2a^2)\)における接線の傾きは\(4a\)である. この接線は\((a,2a^2)\)を通ることから, その方程式は,
$$
\begin{align}
y-2a^2&=4a(x-a)\\
y&=4ax-2a^2
\end{align}
$$となる.
この接線が\(C_2\)にも接するときの\(a\)の値を求める. 直線が2次関数グラフ(放物線)と接する必要十分条件は, 2つの方程式から\(y\)を消去してできる, \(x\)の2次方程式が重解を持つことである.
$$
\left\{
\begin{array}{ll}
y = 4ax-2a^2 & \text{・・・①} \\
y=2x^2-8x+16 & \text{・・・②}
\end{array}
\right.
$$
①を②に代入して,
$$
\begin{align}
4ax-2a^2 = 2x^2-8x+16&\\
2x^2-(4a+8)x+2a^2+16&=0\\
x^2-2(a+2)x+a^2+8&=0 \text{・・・③}
\end{align}
$$となる. これが重解を持つ必要十分条件は, この2次方程式の判別式が0であることだから,
$$
\begin{align}
\frac{D}{4}=&\left\{-\left(a+2\right)\right\}^2-1\cdot\left(a^2+8\right)=0\\
&a^2+4a+4-a^2-8=0\\
&4a-4=0\\
&a=1
\end{align}
$$
よって直線\(l\)は, \(y=4x-2\)である.
このとき, \(C_1\), \(C_2\), \(l\)のグラフを書くと, 以下のようになる. ここで, \(A\)は\(C_1\)と\(l\)の, \(B\)は\(C_2\)と\(l\)の接点である.
\(a=1\)から\(A(1,2)\)であることはすぐにわかる. \(a=1\)のとき, ③の2次方程式は,
$$
x^2-6x+9=0
$$となり, これは\((x-3)^2=0\)から\(x=3\), つまり, \(B\)の\(x\)座標は\(3\)である. これから\(B(3,10)\)であることがわかる.
\(C_1\), \(C_2\)の方程式を連立して, 2つの曲線の交点\(D\)を求める.
$$
\left\{
\begin{array}{ll}
y = 2x^2 & \text{・・・④} \\
y=2x^2-8x+16 & \text{・・・⑤}
\end{array}
\right.
$$\(y\)を消去して計算すると,
$$
\begin{align}
2x^2&=2x^2-8x+16\\
8x&=16\\
x&=2
\end{align}
$$となる. さらに, \(x=2\)を\(C_1\)の方程式\(y=2x^2\)に代入すると\(y=8\)となるので, 交点\(D\)は\((2,8)\)であることがわかる.
改めてグラフを書くと以下のようになっており, \(1\leq x\leq 2\)の範囲で\(C_1\)と\(l\)と直線\(x=2\)で囲まれた面積と, \(2\leq x\leq 3\)の範囲で\(C_2\)と\(l\)と直線\(x=2\)で囲まれた面積を求め, それを合計したものが\\(C_1\), \(C_2\), \(l\)で囲まれる面積となることがわかる.
よって, 求める面積は,
$$
\begin{align}
&\int_1^2\left\{2x^2-(4x-2)\right\}dx+\int_2^3\left\{(2x^2-8x+16)-(4x-2)\right\}dx\\
&=\int_1^2\left(2x^2-4x+2\right)dx+\int_2^3\left(2x^2-12x+18\right)dx\\
&=\left[\frac{2}{3}x^3-2x^2+2x\right]_1^2+\left[\frac{2}{3}x^3-6x^2+18x\right]_2^3\\
&=\frac{16}{3}-8+4-\frac{2}{3}+2-2+18-54+54-\frac{16}{3}+24-36\\
&=\frac{4}{3}
\end{align}
$$となる.
とても基本的な問題です. 交点の\(x\)座標, \(y\)座標それぞれ整数となっており, 計算もしやすいです. グラフもしっかり書いて確実に点をとりましょう.
youtubeでも解説しています.