今回はこちらの問題を解いていきます.
整数\(a\), \(b\), \(c\)に対し, 次の条件を考える.
$$
(\ast)\,\,\,\, a\geq b\geq 0\,\,\,かつ\,\,\,a^2-b^2=c
$$このとき, 以下の問いに答えよ.
(1) \(c=24, 25, 26\)の各場合において, 条件\((\ast)\)を満たす整数の組\((a, b)\)を全て求めよ.
(2) \(c=4p^{2n}\)とするとき, 条件\((\ast)\)を満たす整数の組\((a, b)\)を全て求めよ.
(2025 名古屋大学 文系 [2])
それでは解いていきましょう.
(1) \(a^2-b^2=c\)の左辺を以下のように因数分解する.
$$
(a+b)(a-b)=c
$$ここで, \(a\geq b \geq 0\)より, \(a+b\geq a-b\geq 0\)である. また, \(a+b=k\), \(a-b=l\)とおくと,
$$
\begin{align}
a&=\frac{k+l}{2}\\[1.5ex]
b&=\frac{k-l}{2}
\end{align}
$$と表せる. ここで, \(a\), \(b\)は整数であることから, \(k\), \(l\)はいずれも奇数, または, いずれも偶数となる必要があることがわかる. なぜなら, \(k\), \(l\)のいずれか一方が偶数, 他方が奇数のとき, \(k+l\), \(k-l\)は奇数となり, 上式を満たす整数\(a\), \(b\)は存在しないからである.
以上から, 以下の条件を満たす, 整数の組\((k,l)\)を洗い出し, \(\displaystyle a=\frac{k+l}{2}, b=\frac{k-l}{2} \)として, \((a,b)\) の組を求めることとする.
$$
\begin{align}
・&c=kl\\[1.5ex]
・&k\geq l\geq 0\\[1.5ex]
・& k, l は共に偶数, または, 共に奇数
\end{align}
$$
① \(c=24\)のとき
条件を満たす\((k,l)\)は,
$$
(k,l)=\left\{(12,2), (6,4)\right\}
$$の2通りである. よってこれから, \((a, b)\)を求めると,
$$
(a,b)=\left\{(7,5), (5,1)\right\}
$$として, 2通りが求まる.
② \(c=25\)のとき
条件を満たす\((k,l)\)は,
$$
(k,l)=\left\{(25,1), (5,5)\right\}
$$の2通りである. よってこれから, \((a, b)\)を求めると,
$$
(a,b)=\left\{(13,12), (5,0)\right\}
$$として, 2通りが求まる.
③ \(c=26\)のとき
条件を満たす\((k,l)\)は, 存在しない. よって, \((a,b)\)についても存在しない.
(2) (1)と同様に, \(k,l\)を決めていく. \(c=4p^{2n}\)より, \(c\)は\(4\)の倍数, つまり, 偶数である. \(c=kl\)から, \(k\), \(l\)のいずれか一方は必ず偶数になるが, (1)で与えた\(k\), \(l\)の条件より, \(k\), \(l\)いずれも偶数となる必要がある. よって, 整数\(k^\prime\), \(l^\prime\)を用いて, \(k=2k^\prime\), \(l=2l^\prime\)とかける. \(p\)が偶数でないことに注意すると,
$$
\begin{align}
&c=kl\\[1.5ex]
&\iff 4p^{2n}=4k^\prime l^\prime\\[1.5ex]
&\iff p^{2n}=k^\prime l^\prime
\end{align}
$$となり, \(k\geq l\)であるから, \(0\leq m \leq l\)となる整数\(m\)を用いて, \(k^\prime=p^{2n-m}\), \(l^\prime=p^m\)と表せる. よって, \(k=2p^{2n-m}\), \(l=2p^m\) (\(m=0,1,2,\cdots n\))と表せるから,
$$
\begin{align}
a&=\frac{2p^{2n-m}+2p^m}{2}=p^{2n-m}+p^m\\[1.5ex]
b&=\frac{2p^{2n-m}-2p^m}{2}=p^{2n-m}-p^m,\,\,\,\,(m=0,1,2,\cdots n)
\end{align}
$$となり, 条件を満たす\((a,b)\)の組は,
$$
(a,b)=\left\{(p^{2n-m}+p^m, p^{2n-m}-p^m)|m=0,1,2,\cdots n\right\}
$$の\(n+1\)通りが求まる.
youtubeでも解説しています.