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【 一橋大学入試】2乗で割った余りから多項式を求める(2024)

今回はこちらの問題を解いていきます.

以下の条件を満たす\(x\)に関する4次多項式\(f(x)\)を求めよ.
・最高次\(x^4\)の係数は\(1\)である.
・\((x+1)^2\)で割ると\(1\)余る.
・\((x-1)^2\)で割ると\(2\)余る.
(2024 一橋大学 [3])

今回は関数の積や、合成関数の微分の公式を使う理系向けの解答と, 発想が必要なものの微分を使わずに解ける文系向けの解答をそれぞれ紹介します.

まずは理系向けの解答の発想を紹介します. 条件から
$$
\begin{align}
f(x)&=(x+1)^2Q_1(x)+1\\[1.5ex]
f(x)&=(x-1)^2Q_2(x)+2
\end{align}
$$とおけます. これに\(x=-1\), \(x=1\)をそれぞれ代入することで,
$$
f(-1)=1, \,\,\, f(1)=2
$$を得ることができますが, これと最高次の係数が\(1\)という条件を加えても条件の数は3つであり, 5つの任意定数\((a, b, c, d, e)\)を持つ4次多項式
$$
f(x)=ax^4+bx^3+cx^2+dx+e
$$の係数を決めることができません. 条件が2つ足りないのです. 与えられた条件は\((x-1)^2\), \((x+1)^2\)で割った余りということで, \(f(x)\)を2乗の式で割っています. 上で得られた\(f(-1)=1, f(1)=2\)という条件は, 実は\((x-1)\), \((x+1)\)で割った余りがそれぞれ\(1\), \(2\)になるという条件からも得られます. 今回与えられている条件は”2乗”で割った余りということで, より多くの情報を持っています. その情報は\(f(x)\)を微分したものを考えることで得られます.

では理系向けの解答を見ていきましょう.

条件から,
$$
\begin{align}
f(x)&=(x+1)^2Q_1(x)+1\\[1.5ex]
f(x)&=(x-1)^2Q_2(x)+2
\end{align}
$$とかける. ただし, \(Q_1(x)\), \(Q_2(x)\)はそれぞれ\(f(x)\)を\((x+1)^2\), \((x-1)^2\)で割ったときの商である. ここで, 1番目の式で\(x=-1\), 2番目の式で\(x=1\)とすることで,
$$
\begin{align}
f(-1)&=0^2\cdot Q_1(-1)+1=1\,\,・・・①\\[1.5ex]
f(1)&=0^2\cdot Q_2(1)+2=2\,\,・・・②
\end{align}
$$となる.

さらに, 先の式の両辺を\(x\)で微分すると,
$$
\begin{align}
f^\prime(x)&=2(x+1)Q_1(x)+(x+1)^2{Q_1}^\prime(x)\\[1.5ex]
f^\prime(x)&=2(x-1)Q_2(x)+(x-1)^2{Q_2}^\prime(x)\\
\end{align}
$$となり, 先ほどと同様に1番目の式で\(x=-1\), 2番目の式で\(x=1\)とすることで,
$$
\begin{align}
f^\prime(-1)&=2\cdot 0\cdot Q_1(-1)+0^2\cdot {Q_1}^\prime(-1)=0\,\,・・・③\\[1.5ex]
f^\prime(-1)&=2\cdot 0\cdot Q_2(1)+0^2\cdot {Q_2}^\prime(1)=0\,\,・・・④
\end{align}
$$を得る.

最高次の係数が\(1\)であることに注意して,
$$
f(x)=x^4+ax^3+bx^2+cx+d
$$とおくと,
$$
f^\prime(x)=4x^3+3ax^2+2bx+c
$$となり, ①, ②, ③, ④から, \(a\), \(b\), \(c\), \(d\)に関して以下の4つの方程式が得られる.
$$\left\{
\begin{array}{ll}
1-a+b-c+d=1\,\,・・・⑤\\[1.5ex]
1+a+b+c+d=2\,\,・・・⑥\\[1.5ex]
-4+3a-2b+c=0\,\,・・・⑦\\[1.5ex]
4+3a+2b+c=0\,\,・・・⑧
\end{array}
\right.$$⑦-⑧から\(-8-4b=0\)となり\(b=-2\)がわかる. 次に, ⑦+⑧から\(6a+2c=0\)となり, \(c=-3a\)である. これらを⑤, ⑥に代入すると,
$$
\begin{align}
&1-a-2+2a+d=1\iff a+d=2\\[1.5ex]
&1+a-2-2a+d=2 \iff -a+d=3
\end{align}
$$を得る. 辺々を足して\(2\)で割ることで, \(\displaystyle d=\frac{5}{2}\), 辺々を引いて\(2\)で割ることで, \(\displaystyle a=-\frac{1}{4}\)がわかる. よってこれから, \( \displaystyle c=\frac{3}{4}\)となる.

よって求める\(f(x)\)は,
$$
f(x)=x^4-\frac{1}{4}x^3-2x^2+\frac{3}{4}x+\frac{5}{2}
$$となる.

次に微分を使わない文系向けの解答を紹介します. この解答のミソは, \((x-1)^2\)で割った余りを考えるために, \((x-1)\)を1つのかたまりと見て, 多項式を\((x-1)\)の多項式として表し直すという点になります. 少し思いつきにくいテクニックですので, 今回の問題演習で身につけていただければと思います.

それでは解いていきましょう.

↓解答ここから↓

\(f(x)\)を\((x+1)^2\)で割ったときの商を\(Q(x)\)とすると, \(f(x)\)は
$$
f(x)=(x+1)^2Q(x)+1
$$とかける. ここで, \(f(x)\)の次数は4次で, 最高次\(x^4\)の係数が\(1\)であることから, \(Q(x)\)は\(x^2\)の係数が\(1\)となる\(2\)次多項式であることがわかる. よって, \(Q(x)\)は実数\(a\), \(b\)を用いて,
$$
Q(x)=(x-1)^2+a(x-1)+b
$$とかける. 実際, これを展開すると,
$$
Q(x)=x^2+(a-2)x+1-a+b
$$となり, \(a\), \(b\)を動かすことでこれは\(x^2\)の係数が\(1\)となる任意の2次多項式を表すことができることがわかる.

さらに,$$
(x+1)^2=\left\{(x-1)+2\right\}^2
$$と変形して, これらを先の式に代入して整理すると,
$$
\begin{align}
f(x)&=\left\{(x-1)+2\right\}^2\left\{(x-1)^2+a(x-1)+b\right\}+1\\[1.5ex]
&=\left\{(x-1)^2+4(x-1)+4\right\}\left\{(x-1)^2+a(x-1)+b\right\}+1\\[1.5ex]
&=(x-1)^4+(a+4)(x-1)^3+(4a+b+4)(x-1)^2+(4a+4b)(x-1)+4b+1\\[1.5ex]
&=(x-1)^2\left\{(x-1)^2+(a+4)(x-1)+4a+b+4\right\}+(4a+4b)(x-1)+4b+1\\[1.5ex]
&=(x-1)^2\left\{(x-1)^2+(a+4)(x-1)+4a+b+4\right\}+(4a+4b)x-4a+1
\end{align}
$$となり, \(f(x)\)を\((x-1)^2\)で割った余りは, \(4a+4b)x-4a+1\)となる. 条件からこれが\(2\)に等しいから,
$$
4a+4b=0, \,\,\, -4a+1=2
$$となり,$$
a=-\frac{1}{4}, \,\,\, b=\frac{1}{4}
$$がわかる. これを, \(f(x)=(x+1)^2\left\{(x-1)^2+a(x-1)+b\right\}+1\)に代入して, 展開することで,$$
f(x)=x^4-\frac{1}{4}x^3-2x^2+\frac{3}{4}x+\frac{5}{2}
$$がわかる.

↑解答おわり↑

youtubeでも解説しています.

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